2020年4月30日記載
私は14年間飲食店に雇われで勤め、その後自分で2件の飲食店開業し、現在は通算200件ほどの飲食店の開業、閉店に携わったきました。
主に個人事業主の飲食店店主と関わる事が多い私の経験でお話致します。
2020年4月より新型コロナウィルスの自粛要請で1か月が経過しました。
政府の発表では5月6日を目途にした「緊急事態宣言」を1か月延長する事を検討しているようです。
当然、飲食店の居抜きの仲介事業をしている当社「TsuKuRu」には開業依頼の問い合わせは全くございません。
その為、現在居抜き閉店の依頼を頂いても開業者がいない為、マッチングはコロナショックが落ち着くまで難しいと思われます。
動産=居抜きは直近では売ることが難しです。
今年2月末より新潟市進出した途端この事態なのでタイミングが悪かったとしか言いようがございません。
新潟市の個人事業の飲食店の方に少しでも何かできないか?
考えて今後の行動をシュミレーションしてみました。
新潟市の飲食店は閉店か?融資を受けて継続か?
ホリエモンや前澤さんはYouTubeで借りられるだけ借りろとおっしゃっています。
しかし、個人事業主の小規模飲食店でもそうなのでしょうか?
ベストは1年ほど耐えられる貯金がある事
私は宮城県仙台市青葉区柏木に家賃10万円の飲食テナントを貸出しています。
4月上旬に心配になり店主に声を掛けました。
このお店はご夫婦で5年間経営されている席数18席の小さなお店です。
コロナショックの影響で売上はどうなのか?と
苦しいようなら家賃減額しますよ、と伝えました。
ご夫婦のお店は地域で評判で辞めてほしくないので減額を伝えました。
しかし店主は思いがけない言葉を発したのでした。
「しっかりこのお店で稼がして頂いているので1年位は耐えられる貯金はあります」
「今は家賃の減額は大丈夫です」と・・・・・
職人気質の店主の「事業主としてのプライド」を見た気がしました。
後で考えると私から家賃減額の話をするのは失礼な行為だったのか?と反省しました。
融資を受けると言う事とは?
コロナウィルスでの救済融資制度は国民金融公庫など各種機関で行っています。
しかし、安易に借りて良いのか?
まず、コロナショック前の売上はどうだったのか?
ぎりぎり何とか営業していたお店は融資を受けない方が良いと思います。
TsuKuRuの事業で居抜きで閉店の時に年配の方に多いのですが、20数年営業してきたお店
でも、金融機関や身内に借金を重ねて最後には自己破産をする方が多くいます。
このような状態は経営的に「ゾンビ状態の経営」と言われています。
コロナ自粛が収まった後に売上が以前と同じに戻ってもギリギリ経営、
少し売上が少ないと赤字、返済していけますか?
経済が世界中で止まり、大不況がきているのに、外食費にお金使えますか?
調子悪いのは飲食業界だけではありません。
例
飲食店が調子悪いと
↓
酒屋、八百屋、肉屋、魚屋、タオル屋、ダスキン、飲食店付属事業全般が調子悪くなる
↓
蔵元、ビール工場、生産者、工場も調子悪くなる
こんな感じで生活必需品ではない外食にお金を使えなくなると思われます。
閉店できない理由として、借入=借金があるからという理由が多いのではないでしょうか?
しかし、借金があるから辞められない、そして、コロナで融資がゆるくなったからまた借りよう、という思考は危険です。
いままでもギリギリ経営のお店未来は、数年で自己破産となるでしょう。
「資産が何もないから自己破産してもいいんだよ」
確かに生活はほとんど変わらないでしょう。
しかし大きく変わるのが価値観です。
「自己破産癖がつく」
人間はなれる生き物です。
良く言えば適応力があるといいますか・・・
「借りるだけ借りてダメなら自己破産すれば良いや」
「自分の名義で借りられなければ兄弟や友達の名義で借りれば良いや」
そんな感じになっている人をTsuKuRuの事業関わった店主でたまに見かけます。
周りには誰もいなくなります。
一人ぼっちの嘘つき野郎になり、見た目でも嘘つきがにじみ出る人間になります。
「排他的思考になる」といいますか・・・
コロナショック前からギリギリ経営だったお店は「現金がなくなったら閉店する事」をオススメします。
「じゃぁどうするんだよ、前に借りていた返済はぁ~」
という突っ込みがくると思います。
そんな時は借りた金融機関に「リスケ」をお願いしましょう。
「リスケ」は一定期間返済を待ってくれたり、返済額、期間を調整してくれます。
金融機関も自己破産されるより、現在の社会情勢なので、交渉しやすいのではないでしょうか?
「リスケ」↓
このご時世でも求人のある所に再就職をしましょう。
その方が手取り給料が増えるのではないでしょうか?
融資=借入返済は固定費になる
借入をしても良いパターンは
借りた金利よりも多くの利益を生み出す事
投資の為に借りる◎
現状維持の為に借りる×
不景気に強い飲食店、弱い飲食店は?
大恐慌に弱い飲食店は
・居酒屋
・和食屋
・お洒落な洋風系(フレンチ、イタリアン)
・接待のお店
娯楽要素の強い晴れの日系飲食店、仕事関係で利用されていたお店
接待、会議、出張はテレビ会議で対応が増える
大恐慌に強い飲食店
・ラーメン、定食の食事系
・大衆系、立ち飲み
・激安居酒屋
・テイクアウト
・ファミレス
少ない小遣い、家で食べるより楽などの動機の飲食店
まとめ
個人事業主はコロナショックを融資で乗り切るべきではない
閉店を決めるのは忍びないのですが、「良い閉店」「悪い閉店」があるので、再起できる「良い閉店」を決断するのも考え方の一つです。